「医療機器」と聞くと、病院で使用される治療や診断に使う機器を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、日常生活の中にも医療機器として分類される製品が数多く存在します。このガイドでは、医療機器とは何か、その設計・開発から製造・販売に至るまでの流れと注意点について詳しく解説します。

目次

医療機器とは(定義と分類)

医療機器を製造販売することは、医薬品医療機器等法で規制されており、規制当局(厚生労働省及び各都道府県)の許可・登録・承認を得る必要があります。
医療機器を製造販売しようとする企業は、製造販売行の許可が必要になります。また、医療機器を製造する工場によっては、製造業の登録を行うことになります。

医療機器は使用目的やリスクに基づいて以下の4つのクラスに分類され、必要な承認、認証が異なります:

 

クラスI (一般医療機器)クラスII (管理医療機器)クラスIII・IV (高度管理医療機器)
人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないヒトお生命及び健康に影響を与えるおそれがある人の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある
例: 救急絆創膏、眼鏡、ピンセット、メス など例: 補聴器、電子体温計、家庭用電気治療器 などクラスIII 例: コンタクトレンズ、自己血糖測定器 など
クラスIV 例: ペースメーカー、脳動脈ステント など

クラス分類は、医療機器ごとに定められた「一般的名称」に基づいて決められています。 クラスが高いほど、製造販売の際の規制が厳しくなります。

医療機器を製造するために必要なこと

医療機器を製造するためには、各都道府県から「医療機器製造業」の許可を取得する必要があります。これは、医療機器が人体に与える影響度が高いため、誰でも製造できるわけではないからです。

 

また、「医療機器製造業」の許可だけでは製品の販売はできません。医療機器を製造する企業は、「医療機器製造販売業者」から委託を受け、製造のみを行います。製造した製品をエンドユーザーに販売するためには、「医療機器製造販売業」の許可が必要です。

医療機器の設計・開発業務とその流れ

医療機器の設計・開発は、医療現場の声や要望を反映させながら進められます。特に、機械設計においては高い専門性が求められ、様々な段階を経て製品が完成します。以下に、その流れを詳しく解説します。

1. 仕様検討

まずは、お客様が求める製品の仕様を明確にすることから始まります。以下のステップを踏みます。


– 顧客の要望や製品の概要を詳細にヒアリングします。
– 製品開発の方向性を検討し、製品の設計に向けて必要な要件を明確化します。

2. ハード・ソフト機構設計

次に、具体的な設計に入ります。この段階では、以下の作業が含まれます。

【基本設計】製品全体の構造や機能を概略的に設計します。
【詳細設計】各部品やシステムの詳細な設計を行います。機械設計、電子回路設計、ソフトウェア設計が含まれます。
【機構設計】製品の外観や内部構造を設計します。CADソフトウェアを使用して設計図を作成します。

3. 試作機の製造

設計図面に基づいて、試作機(プロトタイプ)を製造します。この段階では


– 試作機を製作し、設計通りに動作するか、機械的な性能を確認します。
– 実際の使用環境でテストを行い、必要な改良を加えます。

4. 電気的安全性・EMC・各種試験

試作機の性能が確認された後、以下の試験を行います。


【電気的安全性試験】製品が安全に使用できるかを確認します。
【EMC(電磁両立性)試験】製品が他の機器に干渉せず、また他の機器からの干渉を受けないかを確認します。
【臨床試験】必要に応じて、実際の医療現場での使用をシミュレーションし、効果と安全性を確認します。

5. 製造販売 承認・認証申請

各種試験が完了し、製品が規格に適合することが確認されたら、以下のステップを踏みます。


– 必要な承認・認証を得るための申請を行います。
– 各種試験結果や製品仕様書を提出し、当局の審査を受けます。

6. 量産製造

承認・認証が得られた後、製品の量産体制を整えます。この段階では。


– 量産のための製造検証を行い、安定的な生産体制を確立します。
– 必要な機械や設備を導入し、量産を開始します。

7. 出荷検査

製造した製品が市場に出荷される前に、以下の検査を行います。


– 製品が設計通りに製造されているかを確認します。
– 出荷前の最終検査を行い、市場に出荷しても安全かを判断します。

8. 出荷

出荷検査に合格した製品を市場に出荷します。この段階では


– 出荷の準備を整え、製品を市場に流通させます。
– 必要に応じて、製品のマーケティングやプロモーション活動を行います。

 

この一連のプロセスを経ることで、安全かつ有効な医療機器を市場に提供することができます。医療機器の設計開発は高度な専門知識と経験が必要であり、厳密な規制を遵守することが求められます。

医療機器の販売までの流れ

医療機器の販売には、「医療機器製造販売業許可」及び「医療機器製造業登録」が必要です。販売の一般的な流れは以下の通りです。

 

1. マーケティング・プロモーション
2. 商品発注/決済
3. 在庫管理
4. 発送/配送
5. 院内在庫の管理
6. 適正使用支援業務
7. アフターサービス

まとめ

医療機器の設計・開発から製造・販売に至るまでのプロセスは、専門的な知識と多面的な経験が必要です。医療機器の製造・販売における新規参入を検討している企業は、ぜひ当社にご相談ください。

 

当社では、医療機器の設計・開発、製造・販売のサポートを行っています。お問い合わせをお待ちしております。



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